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星や惑星が丸いのは自分の重力が角を削るから、氷は岩より小さく丸くなる

小惑星ベスタは差し渡し約530kmもあるのに角張ったいびつな形。でも約394kmと小さい土星の衛星ミマスはほぼ丸い。丸くなる境目は大きさだけでなく、岩か氷かで動く。十分重くなると自分の重力が自分の角を削り、どの方向もほぼ同じ半径に落ち着いていく。

スマホの地図が1日10kmずれないのは、上空の時計を毎日直すから

スマホの現在地は2万km上空のGPS衛星の時計頼み。その時計は相対性理論のせいで1日38マイクロ秒だけ速く進み、放っておくと地図は1日で約10kmずれる。だから衛星の時計は、打ち上げ前からわざと遅く刻むよう作ってある。アインシュタインが毎朝あなたの道案内をしている話。

二つの太陽が沈む空は実在する。245光年先、二つの星をまとめて回る惑星

映画スターウォーズの『二つの夕日』の空は空想じゃない。245光年先のKepler-16bは土星ほどのガス惑星で、41日で回り合う二つの星のまわりを229日かけてまとめて周回している。二つの重力に引き裂かれず回れるのは、ちゃんと距離を取っているからだ。

ろうそくの炎がとんがっているのは重力のせい、無重力では青い球になる

ろうそくの炎が上にとんがるのは、熱くなった空気が軽くなって昇るから。上下のない宇宙では空気が流れず、炎はゆらめきもせずまんまるの青い球になる。おまけにISSでは、消えたと思った火が目に見えないまま燃え続ける「クールフレーム」まで見つかっている。足元の重力が炎の形を決めていた話。

星が無限なら夜空は真っ白のはず。暗いのは宇宙に始まりと膨張があるから

星が無限にあるなら、どの方向を見ても最後は星に当たって夜空は真っ白に輝くはず。なのに暗いのは、宇宙に約138億年の始まりがあって遠い光がまだ届かず、膨張が光を引き伸ばすから。しかも実は全天は今も光っている——2.7度の、目に見えないマイクロ波で。

ブラックホールにも寿命がある。小さいものほど熱く、速く蒸発する

永遠に残るように見えるブラックホールにも、実は終わりがある。質量を足すほど冷たく長生きになり、小さいものほど熱くて激しく、最後は爆発して消える。太陽ほどの質量でも蒸発しきるのは約10の67乗年後——宇宙の年齢138億年が丸ごと霞む、気の遠くなる未来の話だ。

木星のそばで毎晩並びを変える4つの光点が、地球中心の宇宙を終わらせた

1610年の冬、ガリレオが木星のそばに見つけた4つの小さな光点は、夜ごとに並びを変えていた。地球以外を回る天体が初めて見つかった瞬間で、たった数週間の観測が『すべては地球を回る』という2000年来の常識を崩した。あの4点は、今も双眼鏡で木星のそばに見える。

赤い星ほど冷たく、青白い星ほど灼熱——星の色は表面温度の目盛りだった

蛇口なら赤はお湯、青は水。でも夜空では逆で、赤い星はおよそ3,000度とぬるめ、青白い星は3万度超の灼熱だ。太陽はその中間の黄色で約5,500度。星の色は好みでも派手さでもなく、表面温度をそのまま映した目盛りで、オリオン座の赤いベテルギウスと青いリゲルなら肉眼でも温度差が読める。

月が消えたら、地球の1日は二度と伸びず、季節までも大きく荒れ始める

月は毎年2.5センチずつ地球から逃げていて、その代わりに地球の1日を少しずつ長くしている。しかも自転軸をまっすぐ近くに支える重しでもある。月がなければ1日は短いまま、季節はもっと荒れていた。夜空のおなじみが、実は毎日の時間と気候を静かに握っている話。

ブラックホールは掃除機じゃない。太陽が化けても地球はいつも通り回る

ブラックホールは何でも吸い込む掃除機、ではない。NASAいわく、事象の地平線の外では同じ重さの普通の星と引力はまったく同じ。だから太陽が半径3kmのブラックホールに化けても、1億5000万km先の地球はいつも通り回り続ける。吸い込まれるのは、地平線のすぐそばまで行ったときだけ。

太陽をピンポン玉に縮めると、いちばん近い星は1100km先にある

夜空は星でびっしり。でも太陽をピンポン玉(4cm)に縮めると、地球は4.3m先の砂粒、いちばん近い星は約1100km離れたもう1個のピンポン玉になる。東京に置けば鹿児島の南。その間はほぼ真空で、星が1000億個以上あっても宇宙はほとんど何もない隙間でできている。

宇宙に行くと顔がむくむ──頭に集まった体液が、長期滞在者の7割の目を押す

地上では脚にたまる体液が、無重力だと行き場をなくして頭へ上がる。宇宙飛行士の顔がむくみ脚が細くなるのはこのため。やっかいなのはそれが目まで押すことで、4〜6か月の滞在では約7割に視神経のむくみなどの変化が出ると報告されている。

金星は地球の双子なのに地表は鉛が溶ける467度、犯人は暴走温室効果

大きさも質量も地球とそっくりな金星。なのに地表は467度、鉛がドロドロに溶ける。気圧は地球の93倍で、深さ900メートルの海の底にいるようなもの。同じ材料で生まれた隣の星をここまで変えたのは、二酸化炭素の大気が熱を逃さない暴走温室効果だった。

宇宙飛行士を水に5日浮かべる実験が、寝たきり患者のリハビリを変える

ESAは防水シートで覆った水に人を5日間浮かべ、宇宙飛行士の体の衰えをわざと再現している。支えを失った体は骨と筋肉を手放し、体液は頭へ上る。この水槽で集めたデータが、長く寝たきりになった地上の患者を立ち上がらせるリハビリの設計図になっている。

惑星が生まれる現場を、円盤のすき間で初めて直接写したPDS 70

約400光年先のPDS 70では、ガス円盤に空いたすき間で木星の数倍の惑星がいま材料を集めて育っている。表面はおよそ1000℃、主星からは太陽〜天王星ほど離れた場所。『惑星候補』ではなく生まれている現場を、はっきり1枚に写した初めての例の話。

もし地球の自転が止まったら、海は両極へ逃げ赤道に陸が現れる

あなたは今この瞬間、時速1670kmで東へ運ばれている。地球の自転が生む遠心力が海を赤道へ盛り上げているからだ。もし回転が止まれば海は両極へ逃げ、赤道には1周ぐるりと陸がつながる。見慣れた空も海も「回っているおかげ」で今の形をしている、という思考実験。

無重力で育てた抗がん剤キイトルーダの結晶が、点滴を一本の注射に変えた

重力があると結晶は沈んで偏り、粒がそろわない。だから製薬会社メルクは抗がん剤キイトルーダの結晶を国際宇宙ステーションで育てた。宇宙では39マイクロメートルの均一な粒がそろい、その成果が点滴を皮下注射に変える注射薬につながっている。宇宙の地味な実験は、もう地上の患者の腕に届いている。

ボイジャーは250億km彼方で、1ワット単位でだましだまし延命されている

2023年11月、ボイジャー1号が意味不明な信号を返してきた。原因は壊れたメモリチップ1個。部品を替えられない250億km先で、命令は往復2日かかる。NASAのチームはコードを別の場所へ引っ越しさせ、21年眠っていたエンジンまで起こして生かし続けている。

4.5億光年先で星を飲み込み正体がばれた中くらいのブラックホール

ブラックホールには星サイズ(太陽の100倍未満)と銀河中心の超巨大(数百万〜数十億倍)があるのに、その中間だけ長年見つからなかった。4.5億光年先で通りかかった星を一個引き裂いた一瞬、太陽の数百〜数十万倍という『中くらい』が、ようやく外れの星団で姿を見せた。

宇宙では涙がこぼれない──体を洗うのはコップ1杯、尿も飲み水に戻る

無重力では水は下に落ちず、表面張力で丸い玉になって漂う。だから泣いても涙は頬を伝わず、目のまわりに溜まっていく。体を洗うのはコップ1杯ぶんの150〜200mL。しかも尿や汗、吐く息の湿気まで集めて98%を飲み水に戻している。蛇口の水が落ちるのは、当たり前じゃなかった。