町から風がなくなったのは、三年前のことだった。

正確に言うと、風はある。むしろ以前よりずっと強い。ただそれは外から吹いてくるもので、町の中で生まれるものではなくなった。

私が生まれたアマリ地区は、町の端にあった。丘の上の畑からは銀色の草原が地平線まで続いていて、夕方になると草が光りながら波打った。あの波を起こしていたのは、地面から立ち上る対流だったと、後から学校で教わった。温められた地表の空気が上昇し、冷たい上空の空気と混ざり合う。それが穏やかな微風になる。

三年前、風の向きが変わった。

南から吹いていた対流が消え、代わりに東から一方向の強風が来るようになった。最初は季節の変化だと思った。でも風は止まなかった。春になっても、夏になっても。東からの風は速度を増し続け、銀色の草を根ごと引き抜いた。

畑を持っていた父は、最初に異変に気づいた人間の一人だ。

「表土が飛ぶ」と言った。風が土を巻き上げ、東に向かって運んでいく。最初は細かい砂。次に小石。そしてとうとう、耕した畑の表層ごと。

町長が専門家を呼んだ。専門家は数値を並べ、「環境流」という言葉を使った。町の外側を流れる超高温のガスが加速している。その流体圧力が、町の構成物質を後方に押し出している、と。

私にはわからなかった。でも父は理解したらしく、黙って食卓についた。

半年で人口は半分になった。東側の地区から順に、人々が去っていった。行き先は銀河の中心方向にあるオルガ地区。あちらはまだ風の影響が少ないと聞いた。

「あっちだって時間の問題だよ」と、隣の家のムータが言った。ムータは気象を趣味で観測している老人で、屋根の上に自作の計測器を何本も立てていた。「風が弱いんじゃない。まだ届いていないだけだ」

アマリ地区の小学校が閉鎖されたとき、私は十二歳だった。同級生が七人いたのが、三人になり、ある朝登校したら教室が空だった。先生が黒板にチョークで書いていた。「オルガ地区の第三小学校に転入の手続きをしてください」

父と二人で丘に登った日のことを覚えている。かつて銀色の草原があった場所は、赤茶けた岩肌がむき出しになっていた。表土だけでなく、その下の堆積層まで削り取られていた。

「きれいだな」と父が言った。

きれいだとは思わなかった。でも、見たことのない景色だった。何百万年もかけて積もったものが、数年で剥がされて、下にあった原始の地形が現れていた。赤い縞模様。この土地が若かった頃の記憶のような。

去年、最後のバスが出た。私と父はオルガ地区に移った。父は新しい土地で畑を始めたが、以前のようには語らなくなった。

先月、学校の課題で町の歴史を調べた。古い地質図を見つけた。私たちの町、つまりこの銀河全体が、一つの大きな集団の中に落ちている最中だということが書いてあった。集団の中を満たす超高温の流体が、私たちの銀河の外層を後方にはぎ取っている。

教科書にはこう書いてあった。「十分な時間が経過すると、ガスを失った銀河は新しい星を形成する能力を喪失する」

オルガ地区の夕方、窓を開けると風が入ってくる。まだ穏やかだ。対流がある。地面が温まり、空気が立ち上る。草が波打つ。

でも東の空は、前より少しだけ赤い。

ムータの計測器は、先月ついに壊れたらしい。風に耐えきれなかったのだと、手紙に書いてあった。ただし手紙の最後に、最後の測定値が記されていた。

「風速、加速中。減速の兆候なし」

窓を閉めた。明日も学校がある。新しい友達もできた。この場所が好きだ。

でも、ときどき思う。風をなくした町の、その次の名前を。


物語の「環境流」は、銀河団を満たす超高温ガス(ICM)が引き起こすラム圧ストリッピングにあたります。主人公たちの銀河は今、銀河団に落下しながらガスをはぎ取られているクラゲ銀河です。